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Edge2 今を、いきる。
第27回 前衛(アヴァンギャルド)であることII 〜虹のアーティスト靉嘔とフルクサスの歩み〜
放送日:6月24日(土) 夜10:00〜10:30
出演:靉嘔(アーティスト)
演出:狩野喜彦
制作:テレコムスタッフ
1960年代初頭世界各地で同時に巻き起こった前衛芸術運動「フルクサス」。その代表的アーティストである靉嘔の回顧展が2006年3月福井県立美術館で催された。「虹の作家」として世界的に知られる靉嘔の1950年から現在に至るまでの創作活動の全軌跡を紹介するこの展覧会では、全館が圧倒的な虹の色彩によって埋め尽くされた。
靉嘔の作品は絵画、版画やエンヴァイラメント(環境芸術)そしてパフォーマンスなど多岐にわたるが、それらは全て人間の感覚、視・聴・蝕・味・嗅・覚を探求したものである。過去一切の芸術を拒否し、自分の感覚だけを頼りに新しい芸術を生み出し続けるアヴァンギャルド・アーティスト靉嘔の創作活動の原点に触れる。
『ニューヨークシティ・セレナーデ』
僕がニューヨークに初めて行ったのは、1979年の事だった。ニューヨークに向かう前に立ち寄ったロスアンジェルスでは、会う人々皆に「あそこは危険な町だから気をつけなさい。暗くなったら外出しないほうが良い」と言われたのだが、まだ好奇心旺盛な青年だった僕と友人の小説家は、着いたその日から、ソーホーに繰り出し、夜中までジャズバーで酒を酌み交わした。その頃のニューヨークは、街角にはゴミ袋が散乱し、ビルの壁は落書きだらけで、汚かったが、「アンダーグラウンド文化の中心はここだ!」と言わんばかりの妖しげな活気に溢れていた。そしてそんな雰囲気に魅せられた僕と小説家は、夜な夜なソーホーやビレッジに繰り出し、トーキング・ヘッズやフェニアス・ニューボーンの演奏に胸を躍らせたものだった。そう言えば『マッドクラブ』という店では毎晩、踊り狂うアンディ・ウォーホルに遭遇したものだった。この頃ニューヨークは、パリから「芸術の都」の地位を完全に奪っていたのだ。
今回の番組の主人公、靉嘔さんがニューヨークに渡ったのは、それよりも21年も前の1958年のことだ。その頃のニューヨークは一体どんな町だったのか…。「既製の芸術をぶっ壊せ!」パリからやって来たマルセル・デユシャンの刺激を受けた若き芸術家たちは、この町を舞台に新たな表現を標榜し、荒々しくも、狂おしい活動を繰り広げた。音楽のジョン・ケージやラ・モンテ・ヤング。詩人のアラン・ギンズバーグやアラン・カプロー、そしてジョージ・マチューナス率いるフルクサスの面々。今やその殆どが巨匠と呼ばれるアーティストたちが綺羅星の如く並んでいたのだ。靉嘔さんは、その中に日本人として名を連ねる数少ないアーティストだ。靉嘔さんから聞く、その頃のニューヨークは、僕の体験したニューヨークの数倍魅力的だ。それは僕が体験したニューヨークの原点がそこにあるからだ。
ニューヨークの話ばかりではない、「人真似は絶対にしない」という信念から生み出された、靉嘔さんの数々の作品は、《芸術》のあるべき姿を僕に教えてくれる。いや、今もニューヨークと日本を行き来して活動を続ける、靉嘔さんの存在そのものが《芸術》なのかもしれない。
今回の番組では、そんな靉嘔さんの世界を何処まで表現出来たか、不安は残るが、まずはチャンネルを合わせて欲しい。きっと、元気が湧いて来るはずだから。

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